甘口醤油の味の違い?どれも同じじゃない甘口醤油の違い

こんにちは、鹿児島の甘口醤油味噌醸造蔵吉永醸造店3代目です!

最近では、テレビやメディアなどでも取り上げられ、九州の醤油が甘口、

取り分け鹿児島の醤油が甘口だということが、以前に比べて、だいぶ認知度が

上がってきたように感じます。

当店でも、甘口のこいくちしょうゆだけでも、10種類以上の種類があるのですが、

味の違いについて質問されることがあります。

そうですよね。確かに、同じ甘口醤油なのに、何が違うんだろうって思いますよね?

でもでも、甘口醤油と一括りにするなかれ。

それだけ、種類があるということは、味も大きく違うんです!

今回は、そんな甘口醤油の味の違いに関してお話しようと思います。

そもそも、なんで同じ甘口醤油なのに、そんなに種類があるのか?

ここでは、自社の吉永醸造店の鹿児島甘口醤油の味の分類を例にお話していきます。

一口に甘口と言っても、甘みの質が違ったり、甘みの強さが違ったり、しょうゆのコクとのバランスで、

味の感じ方は、大きく変わります。

甘みの目安として、糖度計の数値がありますが、単純に糖度計の数値が高くても、

甘みの質だったり、コクとのバランスだったりで、甘みの感じ方は、人それぞれです。

こく味の強い醤油で糖度計の数値が高いものより、まろやかで糖度計の数値が低い方の醤油の方を甘いと感じる方も結構いらっしゃいます。

それでは、どのようなタイプの甘口醤油があるのか、3代目的分類で分類してみたいと思います。

まろやかコクありバランス系

オーソドックスな甘口醤油といいますか、コクとまろやかさを併せ持ったタイプです。口に入れてすぐに感じる先味の甘みと、後に残る後味の甘みを併せ持っています。

いわゆる「こくまろ」タイプです。

なんだか、カレーのルーみたいですね(笑)

吉永醸造店の醤油で言えば、「天竜」などがこのタイプの醤油になります。

用途を選ばない、万能に使えるタイプの甘味の醤油です。

重厚なドシンとした甘味系

甘味の質が上品で重厚なタイプの醤油です。主に砂糖などで強く甘みを出したタイプの醤油はこのタイプの甘味になります。

口に入れた瞬間の先味で感じる甘みよりも、後味に残る甘味の余韻が上品な甘みになります。

吉永醸造店の商品ですと「本造り」がこのタイプの醤油です。

サラッとした軽めの甘味系

甘味の質が軽めで、口に入れた時にやさしい甘みが広がるタイプの醤油です。水飴やシロップなどの甘みですね。

通常のお料理や、かけ醤油等だけでなく、焼肉のタレや、ドレッシングなどの加工用に使用すると実力を発揮するタイプの醤油です。

これらの甘味の違いを意識することで、自分の用途に合った甘口醤油や好みの甘さの甘口醤油を選ぶ際の基準のひとつになると思います。

同じ甘口の醤油でも、その中身はそれぞれに個性があり、奥が深いです。

お気に入りの甘口醤油で、おいしい甘口醤油ライフを!

創業昭和三年
鹿児島甘口醤油麦味噌醸造蔵吉永醸造店

鹿児島市西田2-2-3

TEL099-254-2663

営業時間8時30分~18時

店休日 日祝、第2、4土曜日

https://www.yoshibishi.com

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鹿児島の醤油が甘い4つの理由

おやっとさぁです!

鹿児島の甘口醤油専門蔵 吉永醸造店の3代目です!

さてさて、今回は、鹿児島の醤油について、ちょっと掘り下げて書いてみたいと思います。

鹿児島の醤油って、どんな醤油?

ほかの全国の醤油と何が違うの?

そんな疑問に、甘口醤油蔵3代目の吉永広記がズバリお答えします!

鹿児島の醤油の特徴を挙げる際に、一番最初に出てくるワードは、

甘い!

ということです。

そう、鹿児島の醤油は、甘いんです。

まぁ、九州のしょうゆは、全国的に見て甘口なのですが、その中でも、鹿児島の醤油は、飛び抜けて甘いです。

醤油は、南に行くほど甘くなると言われており、九州の中でも、最も南に位置する鹿児島の醤油は、九州の中でも甘いという理由です。

この事実、実は、以前は、あまり知られていなくて、出張や旅行で初めて鹿児島を訪れた方は驚く方が多かったようです。

最近では、ご当地を紹介するテレビ番組などでも、取り上げられる機会も増えてきて、

以前に比べると認知度も上がってきました。

最近では、県外の旅行客や出張者向けに飲食店でも、鹿児島の甘い醤油と、

全国的に流通しているタイプの醤油の両方を置いているお店も増えてきました。

ちなみに、鹿児島では、お酒といえば、一般的に焼酎のことを指します。

最近でこそ、日本酒を飲めるお店も増えてきましたが、圧倒的に焼酎文化です。

(実は、この焼酎文化が後にお話する内容に大きく関わってきます)

同じく、鹿児島で普通の醤油といえば、鹿児島ならではの甘口醤油のことを指します。

県外の方が、旅行や出張などで鹿児島の飲食店を訪れて、刺し身を食べる際に、

普通のしょうゆありますか?という問いに、

「これが鹿児島では、普通の醤油なんですよ(^^)」というやり取りもチラホラ。

鹿児島県人の感覚からすると、広く流通している本醸造タイプの醤油は、辛い醤油という感覚です。

実際、私、三代目も、進学で上京するまで、鹿児島の醤油が甘いという意識は、全くありませんでした。

(醤油屋の息子なのに、そんなことも知らずにお恥ずかしい)

さしみや、かけたりする際に、ん?何か違うなと思ったら、醤油が辛かったんです。

そのときに、初めて同じ醤油でも、地域によって特徴があるんだと知りました!

鹿児島の醤油が甘いのは、分かった。でも、なぜ鹿児島の醤油は甘いのか?

という疑問にお答えします!

なぜ、鹿児島の醤油が甘いのか?

1.物理的に、何が入っていて甘いのか?

という疑問と、

2.甘くなった理由に対する疑問があると思います。

まずは、鹿児島の醤油は、何が入っていて甘いのか?という疑問にお答えします

鹿児島の甘口醤油の甘みの秘密

初めて鹿児島の甘口醤油を体験したお客さまは、

「甘い!砂糖が入っているみたい!」

「おもちにかけたら美味しそう!」

という感想をよく述べられます。

それらのご感想に対する三代目の返事は、

「はいっ!砂糖入ってます!」(キリッ)

そうなんです。鹿児島の甘口醤油には、砂糖が入っているんです。

蔵元によって、使用する甘みの原料は違いますが、

砂糖、シロップ(ぶどう糖果糖液糖)、甘草等は、よく使用されています。

銘柄によっては、サッカリンNaも、よく使用される甘味料です。

サッカリンNaに関しては、以前、発がん性があるのではないかと言われて、

なんとなく身体に悪いというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、

その後、実験と研究がすすみ、発がん性の懸念はなくなりました。

ただ、一度ついたイメージを覆すのは、なかなか大変で心配される方もいるかもしれませんが、

醤油には、JAS法で安全性が確認された添加物しか使用できない厳格なルールが有り、

使用量も食品衛生法でしっかりと規定されており、メーカーも必要最低限の使用で製造しているので

安心してお召し上がりいただけます。

ひとつ言えることは、カラダに悪いものを敢えて商品に入れるなんてことは、絶対にありえません!

ここに関しては、ここで書くと長くなるので、また別の機会に(^^)

ここで、お客様からいただく素朴な疑問

「なんで、何種類も甘い原材料を使用するの?原材料費を抑えた粗悪品を作っているんじゃないの?」

という疑問を抱かれるかもしれません。

これ、ホントに言われると悔しくなります。

結論からいえば、その状態がベストだと考えているから使用しているのです。

単純に、甘みといっても、

口に入れた瞬間に感じる、先味で感じる甘み、

舌先に余韻が残る、後味で感じる甘み、

アッサリとしたキレのある甘み、

重厚でどっしりとした甘み、

サラッとしたやさしい甘み、

などなど、同じ「甘い」という言葉の中にも、様々な甘みがあります。

それらの甘みを、複雑かつバランス良く醤油の個性に合わせて作ることができるのが、

甘口醤油職人の腕の見せどころです。

でも、そんなに、色んな種類の材料を使用しなくても、砂糖だけでいいんじゃない?

という疑問を抱く方もいるかもしれません。

単に砂糖を加えて甘くすればいいという単純なものではありません。

例えば、甘草などは、少量で砂糖の○○倍の甘みが出ます(甘みの質は別として)。

そこで、砂糖を使用するのをケチって安価な原材料で甘みを出しているのではないかと思われる

方も中にはいらっしゃるかもしれません。

しかし、それは、違います。

例えば、砂糖だけで通常販売されている甘口しょうゆの甘みを出そうとした場合、

ドロドロで甘みに奥深さや複雑さのない甘口醤油になってしまいます。

単に甘ったるいだけでドロドロの醤油なんて、美味しくなさそうですよね。

もちろん、甘みの質や醤油の個性によって砂糖だけで甘みを出している商品が弊社にもあるので

全てがそうだとは言いませんが。

正直、これだけ、様々な種類の甘みの材料を使用するということは、製造原価も、かなりかかります。

入れなくてすむものならば、入れなければコストも抑えられます。

でも、甘口醤油を製造することにプライドを持って製造している甘口醤油職人からすれば、

そんな妥協した商品を造るわけにはいきません。

消費者の方に美味しいと思ってもらえる甘口醤油をお届けするために、ちょっとした手間もコストも惜しまず

商品づくりに向き合っているのです。

さてさて、鹿児島の甘口醤油がどういう製造方法や原材料で甘いかお話したところで、

鹿児島の醤油が甘くなった理由

に関してお話していきたいと思います。

理由に関しては、諸説ありますが、ここでは、3代目がこれではないかと思っている、

4つの説に関してお話したいと思います。

説1.

鹿児島は、海に囲まれているので、魚を食べる機会が多く、飽きずに食べるために甘くなった

鹿児島県は、海に囲まれており、魚を食べる機会も多くあります。醤油が甘いほうが、魚を毎日食べても飽きずに

食べられるため、醤油が甘くなったという説です。

説2.

甘いものに対する憧れから甘くなった

その昔、南蛮貿易で砂糖が日本に持ち込まれ、砂糖の文化が日本でも広がりましたが、当時は、高級品であった

ため、庶民には、なかなか手の届かないものだったようです。薩摩藩でも、奄美大島でサトウキビの栽培が行われて

いましたが、当時は、外貨を稼ぐ手段であり、一般の人々の口にはいることはなかったそうです。

そういった中で、甘いものは、贅沢品であるという考えの中から、醤油も甘くなったという説です。

説3.

鹿児島は暑いためカロリー消費も多くカロリーを補うために甘くなった

鹿児島は、南国で温暖な気候です。そのため、他の地域に比べて、汗も多くかき、カロリーの消費も多くなります。

そういった中で、甘いものでカロリーを補うために、料理の味付けも甘くなり、醤油も甘くなったという説です。

説4.

鹿児島で飲まれるお酒は、辛口なため、お酒に合わせる料理の味付けは甘いほうが合うので醤油も甘くなった

個人的には、この説が、1番合っているんじゃないかと思っています。

その土地土地のお酒の味と、料理の味付けって、実は、結構深い関係があるのではないかと。

鹿児島では、お酒といえば、辛口の焼酎が一般的に飲まれます。

そして、辛口のお酒には、甘辛い味付けの料理が合います。

甘辛い味付けの料理を美味しく作ったり、楽しむために醤油も甘くなったのではないかと思います。

東北地方などで、甘めの日本酒をよく飲む地域では、逆に、醤油や味噌などの味は、辛いものが多いです。

以上、4つの説を書いてきましたが、全部に共通するのは、鹿児島の人の味覚には、甘い醤油を受け入れる土壌が

あったということです。だからこそ、様々な土地の食べ物や味が手軽に手に入るようになった現在でも、鹿児島での

甘口醤油の食文化というものが残っているのだと思います。

余談ですが、吉永醸造店の甘口醤油は、製造後に、味の分析を行い、数値的に1年通して味や甘みにブレが出ない

ように製造しています。しかし、塩味に対して舌が敏感になる夏場には、

「醤油の味が塩辛くなった」とのご指摘をいただくことがあります。

私も、この業界に入って十数年経ちますが、これまで、醤油が「塩辛くなった」とご指摘いただくことは、

たまにありますが、

「醤油が甘くなった」

といってご指摘いただくことは、一度もありません。

鹿児島の方の、甘口醤油に対する愛着が垣間見えるエピソードだと思います。

ここまで、鹿児島の甘口醤油に関して述べてきましたが、あくまでも、3代目の考察です。

これからも、鹿児島の甘口醤油に情熱をそそいで美味しい醤油を食卓にお届けできるように腕を磨きます!

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鹿児島甘口醤油麦味噌醸造蔵吉永醸造店

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